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個人のブログ

アイカツ!シリーズの楽曲における、参考曲や参考アーティスト(元ネタ)について

※記事中にYouTubeSpotifyのリンクを大量に貼っているため重いです。YouTubeは基本的に公式の動画があるものを貼っており、ないものはSpotifyのリンクを貼るようにしています。

 

アイカツ!シリーズの楽曲はジャンルが多岐にわたっていて、この曲はどういったジャンルを参照しているか、何を参考としているかなどの話がしばしば話題に挙がります。
そういった元ネタ探しについては、既にはてな匿名ダイアリーに書かれています。

また、最近はこういう記事もありました。

そして、Spotifyでもアイカツ!楽曲と元ネタ楽曲とを聴き比べるプレイリストがあったりします。

といったふうに、たくさん言及されているのですが、本当にそれが参考元(元ネタ)なのかというのははっきりとはわかりません。
ですので、この記事では、上記記事で既出のものも含め、制作スタッフが実際に言及している、つまりソースがあるものを中心にまとめてみたいと思います。

前置きが長くなりました。始めます。

明言編

ここでは、実際にアーティストや曲が明言されているものについて書いています。

硝子ドール

作詞:こだまさおり / 作曲・編曲:帆足圭吾MONACA

大人気キャラ、ユリカ様が歌う曲であり、アイカツ!の曲の良さを伝える時にまずはじめにオススメされる曲のひとつです。上記のMVは2019年12月現在で480万再生、アイカツ!シリーズの公式チャンネルで最も再生数の多い動画です。
アイカツ!のシリーズ立ち上げからアニメ2年目までスーパーバイザーとして制作に関わった水島精二さんが、インタビューでこの楽曲の参考アーティストを明かしています。

吸血鬼キャラを演じているユリカが歌う「硝子ドール」は特別にエッジのきいた楽曲ですが、あれも“NIGHTWISH”というオペラ風に歌いあげる女性ヴォーカルのヘヴィメタル・バンドを参考にしています。

クリエイターズ・セレクション│バンダイチャンネル

また、作曲者の帆足圭吾さんはアメリカのプログレッシブメタルバンド、ドリーム・シアターに大きく影響を受けており、ドリムシがきっかけで20歳の時にアメリカのバークリー音楽大学に留学されたほどなのだとか。
そんな帆足さんの作るメタルなので、随所にドリムシの影響が感じられる曲にもなっています。

たとえば、硝子ドールのサビ前のフレーズはこの曲のギターリフ(1:26〜)を思い起こさせます。
そしてそんなドリムシ愛は、最終的にドリムシのギタリスト、ジョン・ペトルーシに届くまでに至ります。

写真に写っている後藤貴徳さんは硝子ドールをはじめとしたアイカツ!楽曲の多くでギターを弾いている方で、来日公演の際にペトルーシさんに会うことができ、硝子ドールの収録されたCDを直接手渡すことができたそうです。

ダイヤモンドハッピー

作詞:畑亜貴 / 作曲・編曲:石濱翔MONACA

アイカツ!1年目後半のOP曲で、劇中ユニット「ソレイユ」がライブで歌う定番曲。
スカパンクで元気な曲ですが、この曲も水島精二さんが参考曲を明かしています。

同じ地球のしあわせに

作詞:こだまさおり / 作曲・編曲:高田龍一MONACA

いちごたちの1年後輩である北大路さくらが歌う壮大な曲。
徳間書店アニメージュ」の2013年8月号(「『劇場版アイカツ!アニメージュ特別増刊号」にも収録)で水島精二さんが楽曲制作秘話を語っています。

素晴らしい仕上がりなんですけど、これ以上スローなものは今後NGでお願いしますと(笑)。エンヤ(アイルランド出身の歌手)っぽい壮大な感じがほしいとの要望で取り組んだ曲です。どの曲も具体的な参考を探して、まず音楽の方向性の共有を努め、膨らませていきます。

Take Me Higher

作詞:只野菜摘 / 作曲・編曲:永谷喬夫

劇中ユニット「トライスター」が歌う楽曲です。こちらも「同じ地球のしあわせに」と同じアニメージュの記事で語られています。

STAR⭐︎ANISとの雑談で「難易度の高い曲が歌いたい」という話が出て。ならばKalafinaのようなハモリが絡み合う感じがいいかなと。彼女たちのイメージとちょっと違ったようですが(笑)。低音パートが相当低くて「地獄みたいに低い」「地獄パート」と言っていたみたいです(笑)。

物語の展開的にも、この曲を歌うのにはスキルが求められるものだったので、「難易度の高い」というのはぴったりですね。

ヒラリ/ヒトリ/キラリ

作詞:只野菜摘 / 作曲・編曲:帆足圭吾MONACA

アイカツ!1年目後半のED曲で、STAR⭐︎ANIS(アイカツ!歌唱担当のユニット。劇中にも同名のユニットが登場)の8人が歌う、アイドルグループ!な感じの曲。大勢で歌う曲って実はアイカツ!では意外と少ないんです。
こちらもまた水島精二さんが明かしています。

オリジナルスター☆彡

作詞:こだまさおり / 作曲・編曲:田中秀和MONACA

アイカツ!2年目前半のED曲です。
2018年のサンライズフェスティバルで、「おんがく!!〜アイカツ!編〜」と題し、アイカツ!の"音楽"に着目して語るトークイベントが開催されました。その中で作曲の田中秀和さんがこの曲について語っています。

田中:「オリジナルスター☆彡」は「カレンダーガール」の系譜として作った。アース・ウィンド・アンド・ファイアー【※ファンク・ミュージックを代表する名バンド】のオマージュ要素を入れた、特にイントロやAメロは意識している曲なので、EDの映像に「EARTH」という文字があって驚きました(笑)。

木村:作った石川さんは全く意識してないと思いますね(笑)。

『アイカツ!』音楽スタッフのトークイベントより公式レポート公開 | アニメイトタイムズ

確かにイントロがEarth, Wind & Fireの「Getaway」にそっくりです。

ちなみに、上で挙げたトークイベントのロングレポートではアイカツ!の音楽制作についてかなり踏み込んだ話をしているので是非一読してみることをオススメします。

永遠の灯

作詞:tom.m / 作曲:南田健吾 / 編曲:Integral Clover

アイカツ!2年目でユリカ様が歌う楽曲。
こちらは、編曲を担当したIntegral Cloverの方がツイッターでアレンジについて明かしてくれています。
Integral Cloverはagehaspringsに所属する3人組のクリエイターチームで、アイカツ!2年目から参加しているonetrapと同じagehasprings内の制作チームという繋がりです。

ネオクラシカルメタルとはヘヴィメタルの派生ジャンルのひとつで、クラシック音楽のコードを用いつつ、ギターの速弾きなど高度な演奏技術を導入するスタイルのヘヴィメタルで、このジャンルの開拓者といわれているのがイングヴェイ・マルムスティーンです。俗に言う「クサメタル」は、このジャンルのことを言っていることが多いです。

輝きのエチュード

作詞:こだまさおり / 作曲・編曲:石濱翔MONACA

 2014年12月に公開された「劇場版アイカツ!」でいちごが歌う曲です。
この頃は映画公開で話題を集めていた時期であり、普段は載らない雑誌にもアイカツ!の記事が掲載されていた時期でした。
その中のひとつ、雑誌「AERA」2014年12月29日-2015年1月5日合併号に掲載された記事で「輝きのエチュード」の制作秘話が明かされています。

「アイドルとシンガー。異なるタイプの2人が出会い、新しい何かが生まれる。そんなストーリーを描きたかった。下敷きになっているのは、1980年代のアイドルの歴史の転換点です」

(中略)

 制作陣が、80年代と現代をつなぐイメージとして共有したのが、あの名曲「赤いスイートピー」だった。そして、当時トップアイドルへの階段を駆け上がっていた松田聖子さんが歌うこの楽曲こそ、木村さんの言う「アイドルの歴史の転換点」だった。
 作曲は荒井(松任谷)由実さん。歌謡曲フォークソングが中心だった70年代を経て、アイドルとニューミュージックのシンガーとの出会いが、時代を画す「赤いスイートピー」として花開いたのだ。

アニメ「アイカツ!」に隠された80年代フレーバー 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

また、「アニメージュ」の2014年10月号に掲載の木村監督のインタビューでは、劇中で「輝きのエチュード」の作曲をする花音というシンガーソングライターのイメージは松任谷由実さんであると明かしています。

MY SHOW TIME!

作詞:秋浦智裕 / 作曲:鈴木ともよし / 編曲:Integral Clover(agehasprings

アイカツ!3年目に登場のダンスが得意なアイドル、黒沢凛が歌う楽曲です。
これも「永遠の灯」同様Integral Cloverの方が明かしています。

マイケルを意識しているというのはこの曲のダンスの振り付けからもよくわかります。
ひとつ留意していただきたいのは、あくまで「アレンジ」の部分での話で、作曲ではまた違うイメージがあった可能性もあるという点です。

lucky train!

作詞:只野菜摘 / 作曲:中野領太 / 編曲:Integral Clover(agehasprings

大地のの、白樺リサの2人が歌う楽曲であり、アイカツ!4年目のED曲でもあります。
上と同じくIntegral Cloverのツイッターから。

Graham Central Stationは、ベースのスラップ奏法の生みの親、ラリー・グラハムを中心に結成されたファンクバンドです。
「lucky train!」も全編スラップのファンキーな曲ですのでかなり納得です。元からあった参考曲ではどんなだったのでしょうか。
ちなみに、アイカツ!楽曲がサブスク解禁になった際にIntegral Cloverが参考曲のプレイリストを作ってくれています。

あいまい編

ここでは、制作スタッフの言及があるものの、曲やアーティストをはっきりとは絞りきれていないものについて書いています。

KIRA☆Power

作詞:畑亜貴 / 作曲・編曲:石濱翔MONACA

アイカツ!2年目前半のOP曲です。
学研「アイカツ!オフィシャルコンプリートブック」では作曲の石濱さんが「EDM系のサウンド」「ダブステップという攻撃的なサウンドの音楽ジャンルを取り入れた」と語ってくれていましたが、のちに水島精二さんが以下のようにツイートしています。

kzさんはlivetuneというユニットでの活動でも知られるボカロP・音楽プロデューサーです。Tokyo 7th シスターズでの楽曲提供でも有名ですね。
「ブモブモ、ギュギューン」はたぶんワブルベースのことなので、それこそSkrillexなども参考として挙げられてたかもしれませんが、livetuneの「Packaged」を聴くとたしかに「KIRA☆Power」に似た雰囲気があるように感じます。

Dance in the rain

作詞 - uRy / 作曲・編曲 - 田中秀和MONACA

アイカツ!2年目に登場のいちごソロ曲です。
作曲の田中秀和さんのツイートがこちら。

「Oldies(オールディーズ)」という言葉が出てきました。
音楽で「オールディーズ」といえば、たいていは1950〜60年代の米英のポップスを指します(映画「アメリカン・グラフィティ」や「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のイメージですね)。なので、そのあたりから参照先を特定したいところですが、難しいです。初期の曲とのことで、となると水島精二さんがおそらく関わっていて、水島さんが選びそうなもの、と考えて推理したいですが、私ではわかりません。
60年代の曲でいえば、ザ・ロネッツ「ビー・マイ・ベイビー」の雰囲気という感じでしょうか。歌詞の方は雨がテーマの名曲たちを彷彿させますが。どうでしょう。

ミトレジャーノ!

作詞:只野菜摘 / 作曲・編曲:帆足圭吾MONACA

アイカツ!2年目に登場の挿入歌で、ドラマ「おしゃれ探検隊クールエンジェルス」のオーディションステージの楽曲です。歌もので映画音楽的なものをやるという面白い曲になっています。
アイカツ!オフィシャルコンプリートブック」で、作曲の帆足さんが以下のように語っています。

「映画音楽みたいな、冒険している感じの音楽にしてくれ」と言われて。「え、それを『アイカツ!』で歌ものに⁉︎」とびっくりしました。器楽曲ならともかく、歌ものでそういうオーダーをいただいたのは、さすがに初めてだったので。しかも、ギャグアニメならそういうのもありそうなんですけど、「大マジメにかっこいい感じに、かつ元気よく冒険感を出す感じで」と言われて、「どうすればいいんだ⁉︎」となりました(笑)。結局、もともと得意な映画音楽テイストを全力で押し出すことにして、伴奏も完全にオーケストラ編成でやることに決めましたね。

ということで、映画音楽テイストというテーマははっきり示されたわけですが、それでは具体的に何をイメージしたのでしょうか。当然、いろんな映画音楽を参考にされたのだと思いますが、ひとつ、おそらく意識せざるをえないだろうという曲があります。
それが、ジョン・ウィリアムズ作曲「レイダース・マーチ」。「インディ・ジョーンズ」シリーズのテーマ曲です。冒険ものの映画音楽といわれて、この有名な曲が意識の下になかったとはいえないと思います。

ラブリー☆ボム

作詞:tzk / 作曲:山崎佳祐 / 編曲:成瀬裕介

ドラマ「アイカツ先生」のオーディションステージ楽曲です。アニメでは挿入歌として流れます。
アイカツ!COMPLETE CD-BOX」の付属ブックレットに掲載されている木村監督のコメントが以下のとおり。

「ラブリー☆ボム」は女の子ヒーローもののパロディ的なアプローチを試みました!独特の楽しさがあって面白い曲になったなと思っています。

というわけで、女の子ヒーローものといえば、プリキュアセーラームーンパワーパフガールズ……などぱっと思い浮かびますが、もっと拡大して考えてみると、個人的には「キューティーハニー」、それも倖田來未さんカバーのver.の方がアレンジが近いように思います。これは個人の意見です。いろいろな要素が入ってるのだと思います。歌詞にある「オンナのコだもん」はアタックNo.1ですし。

チュチュ・バレリーナ

作詞:只野菜摘 / 作曲:石原理酉 / 編曲:成瀬裕介(onetrap)

劇中ユニット「ダンシングディーヴァ」が歌う曲であり、アイカツ!3年目後半のED曲です。
その「ダンシングディーヴァ」について、「アニメージュ」2015年6月号の記事での木村監督のコメントがこちら。

「ダンシングディーヴァ」のイメージはSPEED。スミレが歌って、凛が横でダンスしている感じがカッコいいんじゃないかと思いました。

というわけで、SPEEDが参照元で、曲としては「STEADY」が一番近いかな、と言いたいところなのですが……。

ユニットのイメージがSPEEDだからといって、曲のイメージもSPEEDとは限らないのです。
というのも、アイカツ!の楽曲制作はまずゲーム筐体(データカードダス)の楽曲の発注から始まるからです。筐体での制作時に、どんなステージか、誰が歌う曲か、といったことは発注されるのですが、シナリオの進行の都合上、筐体とアニメで歌い手が異なったりすることがあります。この「チュチュ・バレリーナ」も、劇中ではダンシングディーヴァが歌っているのですが、ED曲としてシングルカットされたものはあかり・スミレ・ひなき3人の歌唱担当のver.です。なので、この曲がダンシングディーヴァのイメージで制作されたかどうかというのははっきりとわからないのです。

恋するみたいなキャラメリゼ

作詞:辻純更/ 作曲・編曲:石濱翔MONACA

アイカツ!3年目中盤に登場の楽曲。栗栖ここねの着るブランド「レトロクローバー」をイメージした曲になっています。
以下が作曲の石濱さんのツイート。

さあ、出てきました「渋谷系」のワード。渋谷系を音楽的に解説するのはとても難しく、今でもいろんなメディアで渋谷系とは何だったのかという特集が組まれるほどです。
一般的にいえば、1990年代序盤に渋谷を中心に起こった音楽のムーブメントで、フリッパーズ・ギターやピチカート・ファイブ、オリジナル・ラブなどが挙げられますが、渋谷系というワードはわりと定義があやふやで、後に「デス渋谷系」「ポスト渋谷系」「ネオ渋谷系」「アキシブ系」などのワードが出てくるほど大きな拡がりを見せています。
そして、この楽曲も「渋谷系」を意識したというのはわかるのですが、その「渋谷系」の何を参考にしたか、というのは難しいわけです。
ただ、「レトロで可愛い方向性」という説明があったので、ある程度はわかります。渋谷系で「可愛い方向性」を持つアーティストはそれほど多くないからです。
おそらくはピチカート・ファイブ、そして石濱さんの趣味的にシンバルズなどが意識されていたのだと思います。

アコガレカスタマイズ☆

作詞:こだまさおり / 作曲・編曲:石濱翔MONACA

アイカツオンパレード!で登場したばかりの最新曲ですね。
おなじみの作詞作曲陣で制作されたいちごのソロ曲です。
作曲の石濱さんのこの楽曲に関するコメントがこちら。

イギリスのロックの具体的なバンドを挙げるとなると悩みますが、「頭サビ終わりのピアノと時計の音」はビートルズの「A Day In The Life」のオマージュですね(2:16くらいから)。

中期ビートルズの名盤「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band」の最後を飾る曲です。歌詞のWake Upに繋がるところまで一致しているという偶然?(A Day In The Lifeでは「Woke up」ですが)
あと、ここから先は妄想なので読み流してほしいのですが、このUKロック的なオマージュ、最近別の曲でもあったなぁと思いまして、それがTWEEDEESの「少年の見た夢は」でした。

そして、その曲について石濱さんが以前こう呟いていました。

なので、ひょっとしたらこの曲に触発された部分もあるのかもしれない、と勝手に思っています。

オマージュ、サンプリング編

ここでは、言及はないけれども、元ネタがはっきりわかるようになっているものについて書いています。

We wish you a merry Christmas AIKATSU! Ver.

作詞:こだまさおり / 作曲・編曲:岡部啓一MONACA

わざわざ挙げる必要があるのか、という感じですが、皆さんご存知のクリスマスソング「We wish you a merry Christmas」のカバーです。
お馴染みの歌詞に、途中でラップパートが追加されており、だいぶアレンジされて新しい曲に生まれ変わっています。「アイドルとラップ」というテーマで小一時間話せそうな面白い切り口ですが、それは置いておきましょう。
実は、アイカツ!の全てのシリーズで歌われている唯一の楽曲です。(上の動画はアイカツフレンズ!ver.)

G線上のShining sky

作詞:uRy / 作曲・編曲:帆足圭吾MONACA

アイカツ!1年目の楽曲。タイトルからすぐに「G線上のアリア」を思い浮かべたのですが、当時は聴いてみても繋がりがよくわかりませんでした。
しかし、「アイカツ!COMPLETE CD-BOX」に付属のブックレットに掲載された木村監督のコメントに次のようなことが。

これは元々「G線上のアリア」のアレンジ曲なんですけど、あまり「G線上のアリア」感は残ってなかったんですよね(笑)。帆足くん(作曲・編曲)がオーケストレーションを得意とする人なので、すごく“オーケストラらしい曲”になってるなと感動しました。

ということで、注意深く聴いてみると、たしかにイントロに「G線上のアリア」のフレーズがかすかに残っているんですよね。

マジカルタイム

作詞:こだまさおり / 作曲・編曲:高橋邦幸MONACA

アイカツ!2年目に登場の楽曲。
この曲についてはかなりわかりやすいので手短に紹介しますが、チャイコフスキーの「くるみ割り人形」より「行進曲」の一部分が引用されています。

Chica×Chica

作詞:空谷泉身 / 作曲・編曲:成瀬裕介(onetrap)

スペインにルーツを持つアツいアイドル、紅林珠璃がフィーチャーされた楽曲。
フラメンコギターの音色などアンダルシアな雰囲気が感じられる中、どこかで聴いたようなフレーズが入っているのが感じられるはずです。
それは「España Cañí(エスパーニャ・カーニ)」。スペインの闘牛や社交ダンスのパソドブレでBGMとして用いられる曲です。España Cañíとは「スペインのジプシー」という意味だそう。

アイカツ☆ステップ!

作詞:唐沢美帆 / 作曲・編曲:connie

アイカツスターズ!における「アイドル活動!」的な立ち位置の楽曲。
ちゃんとしたソースがないので載せようかどうか迷いましたが、ほぼ間違いないだろうということで一応載せます。
いわゆる「モータウンビート」のリズムの曲です。
モータウンビートとは何ぞや、という話は複雑になるのですが、アメリカのMotown Recordsというレーベルの楽曲に特徴的であったことから名付けられた、というのが俗説です。
簡単に言えば「タッタッター、タッタッタター」というリズムです。
といっても、このリズムはもはや定番で、こうした楽曲はたくさんあります。広末涼子MajiでKoiする5秒前」やプリンセス プリンセス「Diamonds」、斉藤和義「歩いて帰ろう」、Jet「Are You Gonna Be My Girl」などなど。
アイカツ!にも実は他にモータウンビートっぽい曲があります(「Angel Snow」とか)。
なので、「モータウンビート=モータウンへのオマージュ」とすぐにはならないのが実際なのですが、「アイカツ⭐︎ステップ」は、ほぼ意識してオマージュしていると言っていいと思います。
それはイントロがモータウンビートの代表的楽曲、スプリームスの「You Can't Hurry Love(恋はあせらず)」におそらく意識的に似せているからです。

ネバギバ☆

作詞:美音子 / 作曲:カイザー恵理菜 / 編曲:山崎佳祐(onetrap)

こちらも載せるか迷いましたが……。
リズムやギターのリフから考えて、ほぼ間違いなくToni Basil「Mickey」を意識したのだと思います。ゴリエで有名なあれです。

「ネバギバ⭐︎」の歌詞は応援ソングになっているので、「世界で最も有名なチアリーディングの曲」として知られるこれを意識するのはとても自然であると思います。

マジックスマイル

作詞:きむらりゅういち / 作曲・編曲:西川ノブユキ

アプリゲーム「アイカツ!フォトonステージ!!」用に制作された楽曲で、一ノ瀬かえで待望のソロ曲です。
こちらも明確なソースはないのですが、イントロからほぼ間違いなくジャクソン5のオマージュと言っていいでしょう。

かえではアメリカから来たスーパーアイドルなので、アメリカのスーパースターつながりということでしょうか。
余談ですが、この曲が出た当時、ゆるキャン△のOPやカメラを止めるな!のEDなど同時期にジャクソン5を意識した楽曲が複数出てきて面白かったのを覚えています。

導かれて

作詞:松原さらり(onetrap) / 作曲:片山将太、藤末樹 / 編曲: 片山将太 

アイカツフレンズ!から、白百合さくやの歌う楽曲。
久しぶりのクラシック曲サンプリングシリーズで、バッハの管弦楽組曲2番より「ポロネーズ」がイントロで引用されています。

絆〜シンクロハーモニー 〜

作詞:松原さらり(onetrap) / 作曲:藤末樹 / 編曲: 片山将太 

アイカツフレンズ!から、「リフレクトムーン」の歌う楽曲。
アイカツフレンズ!クラシック曲サンプリングシリーズ第2弾、ショパンエチュードOp.10-4がイントロで引用されています。

ピアノの練習曲(エチュード)で高難易度な曲として有名です。(オーケストラコンサート『オケカツ!』での生演奏は見事でした

結び

というわけで、けっこうな量になってしまいました。今後、情報の追加があったら適宜追記していきます。
関係者の発言から推測したものだけでもこの量になるのですから、もっとたくさんの音楽を聴いて知識をつけていくと「これはもしかしてあれを意識したのでは」というのがさらにたくさんわかってくるようになります。それが面白いところで、アイカツオンパレード!の第8話の話じゃないですが、音楽もたくさん影響を受けながらバトンが繋がれてきているわけです。

 

最後に定番の言葉で締めたいと思います。

いかがでしたか?